MI6本部に乾杯!

映画では散々破壊されてきたロンドンにあるイギリス対外諜報部(MI6)の本部、実際に来てみたら無傷&無事で良かった~(⁠^⁠^⁠)

at MI6 Headquarter on Vauxhall in London, UK

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場所:
MI6(Secret Intelligence Service; SIS, Military Intelligence Section 6、秘密情報部 対外諜報6課)Headquarter in SIS Building

住所:
85 Albert Embankment, London SE1 7TP UNITED KINGDOM of Great Britain and Northern Ireland(イギリス;グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)
地図

備考:
英国諜報部員ジェームズ・ボンドを主人公にした映画「007」シリーズにたびたび登場しては、しばしば破壊される秘密情報部の本部ビル。

知っているだけでも1999年公開の『ワールド・イズ・ノット・イナフ(The World Is Not Enough)』の冒頭シークエンスでの爆破。

2012年公開の『007 スカイフォール(Skyfall)』では、Mの執務室を爆破され、

2015年公開の『007 スペクター(Spectre)』では終に建物全体が完全に崩壊するという、

ドラマ「24」のテロ対策ユニット本部(CTU)がたびたびテロに爆破されるという、国家の安全を司る機関のセキュリティとしてお粗末じゃないの〜というツッコミ同様に、

映画では散々な目に遭ってきたMI6(秘密情報部)の本部ビルですが、2022年の夏に現地で見た限りにおいては無傷で無事でした。

手前のクレーンが破壊された部分を修復しているのでは、と妄想が膨らみますが、クレーンはテムズ川の護岸工事用のものなのでご安心を。

ちなみに“秘密”情報部の本部にしては、派手な外観で人目を引くこの建物は、当初は民間の不動産開発会社がオフィスを建てる前提で設計コンペを行い、建築家テリー・ファレル(Sir Terry Farrell)氏がマヤ遺跡やアステカ遺跡から想起したデザインで優勝。

その後に政府が開発計画ごと買い取り、おそらく当初の設計から多額の追加費用をかけて諜報機関仕様に変更を加え1994年に完成。

現実の世界でも2000年には対岸からロシア製RPG対戦車ロケット砲弾を撃ち込まれるなど経験をしておりますが、公式にはガラス窓は3重で、ほとんどの事務所は地下にあり、噂では政府機関が建ち並ぶウエストミンスターとホワイトホールまで、テムズ川の下を潜ってトンネルが敷設されているため、少々のテロ攻撃ではビクともしない対策がなされているという、さすが世界に名だたる大英帝国の諜報機関。

なお、このMI6本部が建つエリア(地名)をヴォクソール(Vauxhall)といい、アメリカ対外諜報機関CIA本部があるヴァージニア州ラングレーをとって換喩(かんゆ)、隠語としてCIAのことを“ラングレー”と呼ぶ事と同様に、MI6のことを“ヴォクソール”と呼んでいる事がスパイ小説には度々登場します。

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さて、くだんのMI6、シークレット・インテリジェンス・サービス(SIS)の対外諜報部、または女王陛下の秘密情報部(On Her Majesty’s Secret Service)で活躍するエージェント、世界で最も有名な秘密工作員(秘密工作員が有名ではダメだろうというツッコミは抜きにして)である「ジェームズ・ボンド(James Bond)」は、直近作でダニエル・クレイグ版が終了しました。

ダニエル・クレイグ版ボンドは、今までのシリーズでは無かった1話完結でない連作の娯楽作品としては非常に楽しめる作品群でしたが、2006年公開の「007/カジノ・ロワイヤル(Casino Royale)」で開始早々に海外のイチ支局長が「自分は世界中のダブルオーエージェント(“007”を始めとした殺しの許可証を持つ“00”エージェント)全員を把握している」という諜報の世界では有り得ないセリフを吐いたりと、ツッコミどころ満載の脚本および設定。

敵に捕まって拷問で吐かされたり、一網打尽を避けるため、組織やチームを細分化して、他のチームのエージェントが誰かを通常は共有することなく、往年のCIA局長アレン・ダレスですら活動するエージェントひとりひとりを知ることはなかったというのが諜報の世界の常識。

なので、たびたびハッキングされたりして漏洩する世界中に潜入する「エージェントのリスト」などというものを、そもそも作成する諜報機関はあり得ないでしょうし。

そして中でも工作員が偽名を使わず生まれながらの本名が「ジェームズ・ボンド」で、そのまま本名で活動しているという設定にはツッコミながらひっくり返りました。

まあ原作小説も本名設定だったのか知りませんが、個人的には「ジェームズ・ボンド」という名前は、諜報1課の「係長」とか役職名みたいなもので、訓練が終わって諜報の世界にデビューする際に与えられるカバー(偽名の人格、もちろん両親や生い立ちも設定されている)の単なるイチ名前という、アメリカのCIAでいえば「ジョン・スミス」のようなものだという設定の方が諜報部員としては普通だろうという認識。

であるからこそ、代々別の諜報員が名前を使いまわす(受け継ぐ)みたいな設定で、時代を越えて違う役者が演じても納得感があったのです。

また、「ジェームズ・ボンド」を後進に譲った後の活躍として、他の映画で元スパイという役柄を演じていると、そっちが本名であり、勝手に後日談的な妄想をして楽しむこともできたのです。

例えばショーン・コネリーが演じた初代ジェームズ・ボンドは、一度は引退するものの、「もうやらない、とは言わない(Never Say, Never Again)」とか言ってカ厶バックしたのも束の間、

アメリカ諜報機関から重要機密を盗んで捕まり、アルカトラズ島の刑務所に幽閉されたものの脱出に成功し、その後サンフランシスコのテロ事件からアメリカ市民を救う活躍をした、元イギリス情報局秘密情報部員・兼SASの大尉ジョン・パトリック・メイソン(1996年公開の「ザ・ロック」)その人だとか、

ピアース・ブロスナン版のジェームズ・ボンドは、日頃の行いが悪くパナマに左遷された諜報部員アンディ・オズナード(2001年公開の「テイラー・オブ・パナマ」)だとか、

そんな具合にいろいろ妄想するのも楽しみのひとつ。

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そんな訳で「ジェームズ・ボンド」という名は、何があろうとその時代時代ごと次の「ジェームズ・ボンド」が任務や役職として襲名し、その時々の「ジェームズ・ボンド」名を授かった工作員が活躍することにより、その名は永遠に続くものだと個人的には勝手に信じております。

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