(現地で飲む)世界のビール vol.237

ポーランドを代表するビール「ZYWIEC(ジヴィエツ)」

飲み口の薄味さっぱり感が旧東欧圏の質素さを想像させてくれます。

それにしても戦災に見舞われ瓦礫の山となった旧市街を、ここまで復興させたワルシャワ市民の熱い想いに乾杯です!

at Old Town Market Square in Warsaw, Poland

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場所:
Bar Przy Dunaju at Old Town Market Square

住所:
Nowomiejska 1/3, 00-271 Warszawa, Województwo mazowieckie, Rzeczpospolita Polska(ポーランド共和国、Poland)
店の地図
広場地図

備考:
世界遺産でもある「ワルシャワ歴史地区(Historic Centre of Warsaw)」の中でも、ワルシャワ観光の中心的な名所でもある「ワルシャワ旧市街のマーケット広場(Rynek Starego Miasta))」は、冬はアイススケートリンクが設置されたりという、地元市民にとっても中心的な場所です。

そして夏の季節には、広場周辺の飲食店が広場にオープンテラス席を設置して、これまた地元市民と観光客が入り乱れて楽しめる場所になります。

そんな「ワルシャワ旧市街のマーケット広場」と周辺は、マゾフシェ公爵領となった13世紀頃から市場を中心に人が集まり出すと共に城郭都市を形成して建物が建ち、さらに1611年にクラクフからワルシャワに首都が遷されると、王族や大貴族の宮殿や大邸宅が更に多く建てられ、その美しい街並みから“北のパリ”と呼ばれる程の欧州有数の都市へと発展を遂げました。

ところが“平原の土地”という意味もあるポーランド、国境が山脈や大河などで分断されておらず、大半が平原で地続きのため、歴史的に何度も領土的野心あふれる強大な周辺の大陸国家に侵略されたり蹂躙されたり分割されたりという波乱の運命に翻弄されます。

そしてそんな地政学的な不幸により、第二次世界大戦では東からソ連、西からナチスドイツに徹底的に攻撃され、ワルシャワの街は瓦礫の山へ。

普通、戦災や震災などで街が瓦礫の山になった場合、新たに都市計画を行い、近代的な道幅の広い街に造り変えることが世界中の都市の常識ではありますが、なんとワルシャワ市民は残された図面やデッサンなどから元の街並みを忠実に復元してしまったのです。

歴史的な美しい街並みがワルシャワ市民の誇りであり、破壊される前から復元復興を念頭に命がけで記録を残し、「失われたものの復興は未来への責任である」という理念の下、愛国的な市民による寄付や労働奉仕によって、物資が不足する社会主義ソ連の衛星国時代という、これまた困難な時代に困難な方法で復興させたのには感動すら覚えます。

そんなワルシャワ市民の心意気に思いを馳せながら、旧市街の市場広場でポーランドビール「ジヴィエツ」で乾杯!

さて、そんな「ジヴィエツ(Żywiec)」ビールは、1856年にポーランド南端の地方都市ジヴィエツでアルブレヒト大公のフリードリヒ・ハプスブルク(Arcyksiążę Albrecht Fryderyk Habsburg)氏によって設立された「ジヴィエツ大公醸造所(Arcyksiążęcym Browarze w Żywcu、Archduke Brewery)」で現在も醸造しており、同醸造所から発展してポーランドの一大醸造所グループにまで成長した「ジヴィエツ醸造グループ株式会社(Grupa Żywiec S.A. Browar w Żywcu)」が市場に提供しております。

なお、現在同社の看板商品になっているピルスナータイプの「ジヴィエツ」ビールは、1918年に発売された「ズドゥルイ(=泉)・ジビエツキ・ビール(piwa Zdrój Żywiecki)」を源流として、1955年から現在まで続く「ジヴィエツ・ヤスネ・ペウネ(Żywiec Jasne Pełne)」の販売を開始(ヤスネ・ペウネはポーランドではピルスナービールを指す一般名詞)。

そんな「ジヴィエツ・ヤスネ・ペウネ」の発売開始以降、物資不足の社会主義国家であっても大麦麦芽とホップ、そしてクリスタルクリアと呼ばれるスクリチュネ山(Skrzyczne)からジヴィエツ渓谷に流れ出す岩清水という変わらぬ3つの原料のみを使って愚直にビール醸造を続け、世界中のビール展示会でも数多くのビールアワードを受賞するなど、今日ではポーランドで最も人気のあるビールと評判になっております。

そんな「ジヴィエツ」ビールをワルシャワ旧市街で飲むと、いろんな歴史の積み重ねを肌で感じることができ、これまたビールも格別に美味しい!

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