(現地で飲む)世界のビール vol.177

「薩摩GOLD」

日本が誇る芋焼酎「さつま白波」を造る薩摩酒造だけあって、ちゃんと自己主張がある香りと濃厚な味わいのビール、旨い!

at 火之神公園 in Kagoshima, JAPAN

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場所:
火之神公園(Hinokami koen)

住所:
〒898-0049 鹿児島県枕崎市火之神岬町47 日本
地図

備考:
鹿児島県の南端、旧日本国有鉄道(JR)の最果て終着駅がある枕崎の海岸にある公園。

沖合に高さ42mの立神岩(たてがみいわ)が神々しく天を指して立つ姿に、人々が神を見出したのも納得の景観です。

同様に日本全国さまざまな場所に立神岩(“たちがみいわ”と呼ぶ場所が多い)が存在しておりますが、神々しい姿の岩をはじめ、日本人は世の万物に神々を見出し、畏敬の念を持ち、その自然の中の生きとし生けるものの命を有り難くいただくことで、人間は生かされているという感謝の思いとともに代々子々孫々の命を紡いできました。

だからこその自然の恵みに感謝して、季節に合わせた旬のものを最高の状態で活かし、最近の研究にて判っているだけでも1万3,000年前の縄文時代より日本人は食事を楽しんできたと言われております。

そんなDNAを持つ日本人、手前味噌ではありますが、世界最高水準とも言える繊細な味覚を持っていると思います。

その日本人が、自然の恵みに感謝して自然の恵みを活かして造り出すビール、美味しくない訳はありません。

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ということで、冒頭の「薩摩GOLD」、1936年設立の薩摩酒造株式会社が、焼酎の製造過程で長年培った芋の発酵技術を活かし、南薩摩特産のさつま芋「黄金千貫(こがねせんがん)」を原料に、ラガータイプの酵母でじっくりと貯蔵・熟成させ造りあげた、琥珀色に美しく輝くピルスナービールです。

ちなみに原料のうち麦芽が50%未満なので、日本の酒税法では発泡酒に分類されますが、その分さつま芋などの副原料をふんだんに使っているため、ポリフェノールが豊富に含まれており、独自の副原料で造るビールというスタイルでは、ベルギービールをはじめ世界のビールの中では、普通にビールとして飲まれているビールと同じです。

いわゆる麦芽が少ないゆえ、香り薄めの淡白なビールに似た発泡酒、とは別のものです。

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さて、日本では1994年の小規模醸造解禁にともない、全国に地元の食材を活かしたクラフトビールが続々と誕生し続けております。

高知県の土佐山田のクラフトビール、

(現地で飲む)世界のビール vol.140

「TOSACO よさ恋バナナヴァイツェン」

名前のとおりバナナの香りが心地好く美味しい!

無農薬で丹精込めて育てられた高知県産の希少バナナ、「よさ恋バナナ」をふんだんに使ったヴァイツェンビールは、2018年創業の「高知カンパーニュブルワリー」が製造。

ビールが苦手な女性でも美味しく飲めるようにと、高知県産の農産物を副原料として、見事に優しい香りや飲みやすさを実現した職人技のビールです。

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こちらはバナナを使わずともバナナの香り立つ逸品、

(現地で飲む)世界のビール vol.226

松江の「ビアへるん ヴァイツェン」

小麦の甘さを上手に引き出し、まさにバナナを思わせる香りとフルーティで濃厚な風味が心地好く美味しい!

こちらも女性にオススメできるビールです。

ちなみに「ビアへるん」の“へるん”とは、作家で日本研究家の“小泉八雲”こと“ラフカディオ・ハーン(Patrick Lafcadio Hearn)”の“Hearn”を、中学校教師をしていた時代の松江の人々が親しみ込めて“へるん先生”と呼んでいたことから、1999年創業の島根ビール株式会社が製造するビールブランド名としております。

こちらのビールも地元産の原料を積極的に使い、地元料理に合わせて飲めるビールを標榜しているとのこと。

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さて、こちらはビールの肝とも言えるホップを地元で育てたクラフトビール、

(現地で飲む)世界のビール vol.271

「はりまで育てたビールSaison」

兵庫県の姫路市と作用市でホップを育てる「はりまホッププロジェクト」により、播磨地域の里山や街中で市民がホップを栽培し、はりま産の地ビールを育てて市民みんなで乾杯しよう!という「ホップの栽培を通した地域づくり」で生まれたビール。

「はりまで育てたビールSaison」は、街の緑化をはじめ、世の中に“みどり”を増やす活動をする「はりまグリーンラボ(Harima-Green-Lab)」が音頭を取り、地元の明石ビール株式会社が醸造しておりますが、市民の手造り的なフレッシュなホップの爽やかさが特別に美味しく、思わず笑みがこぼれる素敵なビールです。

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そして日本酒の吟醸酵母とビール酵母との交配から生まれた、

(現地で飲む)世界のビール vol.197

「あきた吟醸ビール」

フルーティな香りとほのかな酸味で美味しい!

場所:
ビアバールあくら

住所:
〒010-0921 秋田県秋田市大町1丁目2-40
地図

備考:
造り酒屋の跡地で2021年にスタートした「秋田あくら麦酒」にて、秋田県横手市で生産されたIBUKIホップを使用し、原料に秋田名産米“あきたこまち”を使用し、秋田県立大学と共同開発した日本酒の吟醸酵母とビール酵母を掛け合わせた「あきた吟醸麦酒酵母」により、秋田の技が結集した「あきた吟醸ビール」を醸造。

華やかな香りと、ヴァイツェンベースの飲みごたえのあるボディで幸せな気分にさせてくれます。

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そして地元産の海の幸と合わせるビール、

(現地で飲む)世界のビール vol.287

「ISLAND BREWERY YUZU-KOJI ALE(ゆず麹エール)」

グラスに口を近づけただけで柚子の香りが感じられ、そのまま喉越しまで優しいフルーティな味わいが心地好い、とっても美味しく幸せ気分に浸れるビールです。

場所:
ISLAND BREWERY

住所:
〒811-5501 長崎県壱岐市勝本町勝本浦249
地図

備考:
長崎県の壱岐島にて2021年に誕生したクラフトビール醸造所。

真っ青な美しい海に囲まれた壱岐でとれる海の幸、魚と合うようにと考えて造り出されたビールの数々を醸造しております。

壱岐では、お刺身を食べる際にワサビの代わりに柚子胡椒などを使うこともあるとのことで、その壱岐でとれた柚子の果汁と柚子皮を使い、壱岐焼酎の製造に使われる白麹をたっぷりと使って発酵させて造られたのが「ゆず麹エール」です。

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この様に、主原料、副原料、ホップ、ビール酵母等こだわりの日本のクラフトビールを挙げるとキリがありませんが、自然の恵みに感謝し、素材を最大限に活かして造り出された日本のクラフトビール、世界のビールに引けを取らない抜群の完成度なのは、醸造家のたゆまぬ努力はもちろん、醸造家の繊細な味覚と飲む人の繊細な味覚による相乗効果の賜物なのだと勝手に考え、これからも様々な日本のクラフトビールとの出逢いを楽しみにしております。

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