約1,000年もの歴史があるベルギー最古のビールブランド、

(現地で飲む)世界のビール vol.246

「Affligem Bronde(アフリゲム・ブロンド)」

芳醇な香りと濃厚な味わい、美味しい!

ベルギー・ブリュッセルを代表する世界遺産グランプラスで昼飲み最高(⁠^⁠^⁠)

at La Grand-Place in Brussels, Belgien

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場所:
グランプラス(La Grand-Place de Bruxelles)

住所:
Grote Markt, 1000 Brussel, Koninkrijk België(ベルギー王国、Kingdom of Belgium)
地図

備考:
EU(欧州連合)の本部があるベルギーの首都ブリュッセル。

そもそもEUは、ドイツ(ゲルマン)とフランス(ラテン)という民族も文化も違う隣り合った2つの大国が、歴史的に争いを繰り返し、特に19世紀初頭のナポレオン戦争からは領土占領と被占領を繰り返し、両国民が血で血を洗う度重なる戦争を行ってきた反省から創り出された共同体が起源。

なのでドイツとフランスの間にはさまれて位置し、ドイツとフランス両国に征服蹂躙された歴史もあり、ドイツ語とフランス語が公用語で両国の文化の影響も残る、いいとこ取りの融合とも言えるベルギーの首都ブリュッセルに本部が設置されることに。

そんなブリュッセルが誇る世界遺産「グランプラス」は、11〜12世紀あたり頃から人々が買い物や物品交換で集まる広場として形成され、以降数百年かけて建築されてきたブリュッセル市庁舎や王の家、ギルドハウスなどのゴシック様式の歴史的建築物に囲まれた広場。

フランスの詩人ジャン・コクトーが“豊穣なる劇場”と表現し、文豪ヴィクトル・ユゴーが“世界で最も豪華な広場”と称えたという、特に日没後には宝石を散りばめたかのごとく輝き、豪華絢爛な雰囲気に包まれてオススメ。

たしかに“世界で最も豪華な広場”という表現に納得すること請け合いです。

そんな豪華絢爛なグランプラスで昼間から飲むビール、冒頭の「アフリゲム・ブロンド」も豪華絢爛な美味しさ。

なお「アフリゲム・ブロンド」を醸造するのは、ベルギー最古の1074年からビールを醸造してきたという聖ベネディクト派の「黒い修道士」6人が造ったアフリゲム修道院を源流とするアフリゲム醸造所で、ベネディクト派の厳しい戒律と同様に、今も当時と変わらずアフリゲム村で収穫された大麦だけを使って厳格に醸造しているアビイ・ビールです。

ちなみにアビイ・ビール(abbey beer)とは、“abbey(修道院)”の名の通り修道院に訪れる人々をもてなすために醸造されたビール。

トラピスト・ビールの様にトラピスト修道院の中の醸造所で醸造されたビールという厳格な定義ではないものの、トラピスト会以外の修道院がそれぞれ独自のレシピや製法を持って、地元の醸造所に委託したりして醸造されるのがアビイ・ビールです。

厳格なイメージがあるキリスト教カトリック修道院とビールのイイ関係って、トラピストにしてもアビイにしてもベルギーの修道院で特に多く見られるというのが面白い。

そもそも修道院は厳格な戒律の元で修道士が修行する場であり、その修行のひとつである断食中においても唯一飲み物だけは許されるため、飲むパンと言われる麦で造られるビールで栄養を摂っていたのが修道院ビール(アビイビール)の始まりという。

また衛生的に、そのまま飲めない水の代わりに修道院でワインやビールを醸造して地域住民に提供し、疫病対策として修道院のある地域みんなで飲んでいたという歴史もあるとのこと。

そこにベルギーという地勢的に面白いところが重なり、フランスの様な良質なブドウが採れないためワイン造りが主流にならず、ドイツの様な良質なホップも採れないという環境の中で、昔ながらのハーブや香辛料やフルーツを使って上面発酵されるエールビールが修道院で造られ続けてきたという歴史により、今でもベルギーではトラピストやアビイといった修道院由来のビールが多いのです。

そんな今で言うクラフトビールの先駆けとでも言える、原材料の規定や制限もないため醸造所独自に発展し醸成されたベルギーのビール文化が、2016年にはユネスコ文化遺産に登録されました。

そしてベルギーといえばチョコレートやワッフルなど甘いもの好きが多いスイーツ王国、必然的に副原料にも糖度の高いフルーツやコーン・スターチ(でんぷん)、ブドウ糖シロップなどが多く使われ、糖度が高いと必然的にアルコール度数が高いビールが醸造されるという流れ。

ちなみに前出の「アフリゲム・ブロンド」はアルコール度数6.7%とベルギービールとしては普通ですが、美味しいからと言って昼間から気持ち良く飲み続けると本当に気持ち良く酔っ払います(⁠^⁠^⁠;)

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さて、ベルギーには1,500種類を超すビールがあるとも言われ、ベルギーを訪れたら出来るだけ多くのビールを楽しみたいと思うのが人情。

今のところ個人的にベルギービールのイチオシはこれです。

(現地で飲む)世界のビール vol.247

「brugse Zot Blonde」

柑橘系のフルーティな酸味とアロマだけでなく、クルミやバナナの様な甘い芳香が鼻孔に残って心地好く、思わずニヤける美味しさ。

ちなみにビールブランド名の「ブルッグス・ゾット」は、“ブルージュの馬鹿”という意味で、後に神聖ローマ皇帝になるマクシミリアン1世に、水の都ブルージュの街に精神病院を建てる資金援助をしてもらうため、ブルージュの人々が馬鹿になりきってパレードをしたという逸話から、名付けられたという。

そんな「ブルッグス・ゾット」を醸造する「ドゥ・ハルヴ・マーン醸造所(Brouwerij De Halve Maan)」は、1556年に既存の醸造所を買収して創業したという歴史がありますが、1856年にブルージュの中心地に移転し、その後様々な経営資本の変遷を経て、2005年に現在の経営体制になり、そこで「ブルッグス・ゾット」が生み出されたとのことです。

そしてもうひとつ「ブルッグス・ゾット」シリーズのオススメ。

(現地で飲む)世界のビール vol.248

「brugse Zot dubbel(Brune)」

ワインを想わせる赤味がかった茶褐色の液体により、イメージバイアスがかかり、本当にワインの様なフルーティな香りを感じ、さらにカラメルローストのアフターも楽しめるデザート感覚で美味しいビール。

とはいえ「ブルッグス・ゾット・ダブル」は、アルコール度数7.5%という程々に酔いやすいので気を許すことなかれ。

結局ベルギービールが酔いやすいのは、アルコール度数が高いからということはもちろん、どのビールもそれぞれ特徴があり、濃厚な味わいなど飲んでいて楽しく、それゆえ知らずに飲み過ぎて、結果として“酔いやすい”ということなのです。

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